12月7日(土)は、欠陥住宅被害に関する市民シンポジウムに参加してまいりました。
「欠陥住宅」というとあまり文化に関係が無いように思われるかもしれません。
昔から「衣食住」は私たちの生活を支える基礎と言われてきました。「衣食住」の順は人間的つまり文化的な要素の強さを示すといった人もいます。他の生物は持たない「衣」や、手を加えない「食」とは違って、「住」は子を育てる多くの動物が持つことから、生きていく上では欠くことのできない本当の意味での基礎となる大切なものだと考えられます。「住」が満たされることで、初めて「食」「衣」も充実すると言えるのではないでしょうか。
「文化」はあくまで生活に根ざしたものですから、私たちの生活が守られないと文化の保護や継承も絵空事でしかありません。日本文化の土台を支える大切な「住まい」を守るためにはどうすればいいのかは、実はとても大切なことなのです。
さて、小難しい話はそれぐらいにしまして。とは言っても、やはり当日の参加者は建築士・弁護士・消費者センターの職員さんといった専門家の方々ばかりでした(汗)。日頃から欠陥住宅問題に携わる方々が、問題解決や予防策を考えるために集まっていることもあって、真剣な眼差しで発表を聞いておられました。住宅問題の被害報告ということで、我がNPOの事務局長も発表者の一人として参加させていただきましたが、いかに「住まい」というものが生活や人生にとって大切なものか、それを守ることや問題を解決することが難しいのかをお伝えできたかと思います。
波乱万丈なこれまでの経緯に大きな関心が寄せられましたが、それによって得られた教訓として『消費者はバカだと自らが気付くこと』『住宅を簡単に購入してはいけないこと』という内容が出席者の皆さんに伝えられたのではないかと思います。事務局長、本当にお疲れさまでした。
個人的には、被害者が受けた想像に絶する苦しくて悲しい心情を伝えることは、他の人の共感を得ることができたとしても、問題解決や被害防止にはほとんど役に立たないと考えています。たとえ気持ちを知ったとしても、私を含めて多くの人々は無意識のうちに「他人事」だと頭のどこかにインプットしてしまうからです。どんなに気持ちを分かろうと頑張って、同じ気持ちになれたとしても、「体験」というハンデだけは埋めることができません。当事者以外は当事者に成り得ないのです。これは震災被害などでも同じだと思います。
気持ちを伝えることが無駄や不要とはまったく思いません。人は感情の生き物ですから、気持ちの吐露は必要ですし、伝えることは大切な行為です。それ以上に、体験者としては伝えるべきことがある、そう感じさせてくれた貴重な機会だったと思います。
これから住宅を購入しようとしている皆さん、新築や改築(リフォーム)を検討している皆さん、最初が肝心です。手をつける前、せめて契約する前に、冷静な意見をもらえる第3者をみつけてください。見当たらない時は、遠慮なく当NPO法人にご相談ください。
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