「マイホームの夢、かなえません」
少し前になりますが、なかなか過激な題名に惹き付けられて読んだネット記事と、TVニュース番組の特集で『小川の家』の存在を知りました。簡単に紹介させていただきますと、「小川の家」は長崎県長崎市にある小さな工務店で、小川勇人さんが社長をなさっています。小川さんは先代の小川工務店を手伝いながら、不景気で思うように家が売れず、「家は何のために存在するのだろうか」と考えるようになったそうです。子育て世代が特に家を必要とすることから「家とは子供を育てる器だ」と思うようになったものの、多くの施主は安くて部屋数の多い家を希望する、そのギャップとの間で悩んでこられたそうです。本当の意味での「住まい作り」を提案するための『小川の家』を立ち上げ、今では人づてに評判を呼び、全国に名の知られる工務店となったということです。
家作りには設計者である建築士が必要なわけですが、個人が住宅を購入する際にどれだけ建築士と関わりを持つでしょうか?建売住宅を購入してしまった私は、恥ずかしいことに住宅問題が発覚するまで存在すら知りませんでした。そして建築士が監理していなかったことによる建築上の弊害がいかに大きかったのかということを知りました。そんな住宅のプロである建築士とは、いわゆる国家資格の一つでありまして、昔の大工棟梁にあたります。建築士制度ができたのは戦後の1950年でことでありまして、まだ60年ほどしか経っていないようです。今の建築士を見ていると、建物の専門家と建造物の芸術家が混在しているように感じてしまいます。戦前までは我々庶民に寄り添い、家についての良き相談相手になってくれたであろう大工さんや棟梁が、その仕組みとともに建築士制度の中に埋没してしまったように思えてなりません。先生なんて呼ばれるようになった途端、雲の上の存在になってしまう(思い込む)人はたくさんいますから(笑)。
いえ、建築士さんの中にも親身に「住まい」を考えてくださる棟梁のような方はいらっしゃいます。私たち個人が本当に「家」を大切に思うなら、商売人や芸術家ではない「正しい」建築士さんに一度は相談するべきなんだとつくづく思い知らされました。
コメントをお書きください